どこでも観光列車に乗れる時代がやってきた!そんな今だからこそ価値がある貴重な観光列車(まえがき)
みなさまこんにちは。ゆわきーです。
このブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは「今だからこそ価値がある貴重な観光列車」です。
近年、すごい勢いで観光列車が増え続けており、どれに乗ったらよいのか迷ったり、なんか同じような列車がたくさんある…という印象を持ったり、みなさま色々なご感想をお持ちかと思います。
そこで今回は、私なりに現在の日本の観光列車列車の状況について考察しつつ、それを踏まえて今、貴重な列車とはどんなものか?という内容で書いていきます。
★今回のもくじ
1.日本の観光列車の現況
①増えまくった観光列車の2極化
②アクティビティ列車
③超豪華列車
2.新幹線、特急列車の現況
①没個性化と簡素化
②都市間輸送でも「乗る楽しみ」があった時代
3.まとめ
①貴重な列車とは?
②おすすめの観光列車紹介(予告)
1.日本の観光列車の現況
①増えまくった観光列車の2極化
さて、そもそも今日本では観光列車がいくつ走っているのか、という単純な疑問から入りますが、
参考文献として、谷崎竜氏著「日本観光列車ガイド 全国主要94列車 2021」(イカロス出版:2020年)を読んでみたところ、そのタイトル通り100近くの観光列車があるようです。
多い、多すぎる…!!
ここまで多いと、全部を追い切るのは至難の技ですね…。
ただ、今の日本の観光列車の顔ぶれを見ていると、おおよそ2つのカテゴリに大別されるように感じました。(もちろん、どちらにも属さない例外もあります。)
1つは「アクティビティ列車」、もう一つは「超豪華列車」です。
②アクティビティ列車
まず「アクティビティ列車」についてです。
これは私が勝手に考えた言葉なのですが、「比較的短い距離を走り移動手段としての性質が薄く、『乗る楽しみ』の提供に特化した列車」という意味合いです。
今日本で走っている観光列車の多くはこのカテゴリーに当てはまるのではないかと思います。
例えば「レストラン列車」などが典型的な例です。
これらの列車は、第三セクターの鉄道会社が地域振興の目的で走らせているものが多く、JRが運転しているものも、地方路線を走っている場合が多いです。
もう少し言い方を変えると、東京、名古屋、大阪、博多といった大都市のターミナル駅には乗り入れない場合が多いため、乗りに行くための移動手段(新幹線や特急列車、飛行機など)を別で用意する必要があるということです。
そうなってくると、移動手段というより移動した後での現地のアクティビティという性質に近くなるため、このような名前を付けました。
またアクティビティ列車の傾向として、「おおまかな内容が似ているものが多い」ということが挙げられます。
たいていの列車は、「ちょっと内装が凝っており、オリジナルグッズの物販がある」、「レストランやカフェのように飲食を楽しめる」といったテンプレートに乗っかっています。
列車のデザインや出される飲食物の中身、接客サービスなどの細部の違いはあるのですが、大枠のテンプレートというレベルでは先行他社と同じものを使っている場合が多く、それを脱して際立つ個性を発揮している列車は少数派であるように感じます。
言い換えれば、観光列車全体のコモディティ化が進んだという見方もできるかと思います。
もちろん、このカテゴリーの中にもクオリティが高い列車はたくさんあり、私のお気に入りの列車もあるので、このカテゴリーに入るからダメ、ということではありません。
ただ、ちょっと増えすぎて差別化が厳しくなってきたよな…とは思います。
③超豪華列車
さて、もう一つのカテゴリーは「超豪華列車」です。
これは文字通り、高額な料金が必要になる代わりに贅を尽くした列車旅が楽しめる、というものです。
先駆けはJR九州の「ななつ星in九州」、それに続いたJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」やJR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」あたりが有名どころですね。
こちらは長距離をゆったり移動し、移動の過程を楽しめるものの、いかんせん値段が高く簡単には手を出せないので、万人向けとは言い難いです。
また、これらの列車は決められたコースを周遊するツアー商品として販売されており、最終的には出発地に戻るコースを組まれているため、通常の列車のように「自分が決めた目的地への移動手段」という性質からは少し外れる存在でもあります。(もっとも、周遊する各地を目的地と解することもできますが…)
ただ、メディアや鉄道会社の広告への露出は非常に多く、各社とも「広告塔」、「イメージリーダー」のつもりで運転しているのかもしれませんね。
2.新幹線、特急列車の現況
①没個性化と簡素化
さて、ここまで観光列車そのものについて書いてきましたが、次は観光列車に乗りに行くための道のりとなる新幹線や(観光列車以外の)特急列車はどうなっているのか、というお話です。
結論から言うと、私は「同じような列車が増え、年々簡素になっていっている」と感じています。
特にわかりやすい例が東海道新幹線です。
2000年代初頭にはじつに4つ(100系、300系、500系、700系)の車種が走っていましたが、今はN700系(と、ほぼ同じ見た目のN700S)に統一されています。
車種を統一することにより、車両のやりくりをしやすくなったりメンテナンスコストを下げることができたりと、鉄道会社には大きなメリットがもたらされます。
また、車内設備も時代を経るごとに簡素化されていきました。
例えば供食設備や物販の面では、0系や100系の時代にはあった食堂車が300系以降で廃止、かろうじて残ったサービスコーナー(売店)も700系以降で廃止、今ではワゴンサービスによる車内販売が残るのみになりました。
廃止の理由としては、高速化に伴う乗車時間の短縮化、エキナカ物販店との競合等がよく挙げられます。
(個人的には東京~新大阪間の2時間半も十分長いと思うのですが(汗))
このような車種の統一とそれに伴うサービスや座席の簡素化は全国各地で見られる傾向です。
逆に、従来よりもサービスが充実した例は東北・上越・北陸新幹線のグランクラスくらいでしょうか…。
②都市間輸送でも「乗る楽しみ」があった時代
まだ観光列車が各地を走り出す前の時代、とりわけJR誕生後からしばらくの間は、新幹線や(観光列車以外の)特急列車が「乗る楽しみ」を担っていました。
先述した東海道新幹線は特にビジネス需要が旺盛な路線ですが、100系新幹線がフラッグシップの役割を担っていたころは、食堂車やカフェテリア、二階建てグリーン車にグリーン個室など、今からは想像できないほど豪華なサービスが展開されていました。
在来線ではビュッフェや個室を連結して博多~西鹿児島を走破した787系「つばめ」や、上野や大阪から遥か札幌を結んだ「北斗星」、「カシオペア」、「(瑞風じゃないほうの)トワイライトエクスプレス」といった寝台特急などが代表的な例になろうかと思います。
また特殊な設備がない列車でも、グリーン車でアテンダントによる接客を受けられる列車があったり、JR北海道のように途中駅で搭載される駅弁を予約購入できるサービスなんてものもありました。
このように、以前は「移動手段」としての役割を果たしながら「乗る楽しみ」も両立させた列車が数多く走っていました。
寝台特急などはお値段がお高めではあったものの、現在のクルーズトレインよりもずっと安く乗ることができ、切符もみどりの窓口で買うことができたので、今よりもずっと敷居は低かったのです。
しかし、そういった列車やサービスは新たな新幹線の開通や各社のコストカット施策によってどんどん淘汰されていき、今では「乗る楽しみに提供は観光列車に任せ、移動手段としての新幹線や特急はとことん合理化する」というのがトレンドになっているようです。
近年、鉄道会社の経営環境は少子化等の影響で年々厳しくなっていくということが度々言われており、それに備えて効率化、コストカットを進めることは合理的な対応ではあるのですが、「乗る楽しみ」が失われていく状況は、利用者の立場からすると寂しさを感じますね…。
3.まとめ
①貴重な列車とは?
さて、つらつらと思うままに書いてしまいましたが、これまでの内容を踏まえて「今、乗る価値がある貴重な観光列車」とは、
「乗る楽しみ」と「移動手段」の役割を両立させ、「手の届くお値段で」乗ることができる列車
であると私は考えています。
「乗る楽しみ」は旅の最初から最後まであるに越したことはないし、みんなが実際に乗りに行けてこそ価値がある、ということです。
もちろん、アクティビティ列車にも豪華クルーズトレインにも魅力はありますが、そこでは味わえない魅力もある。
そんな列車がどんどん少なくなっているので、できるだけ長く走ってくれるように。
そして後継車両が同じ魅力を持って生まれてきてくれるように。
私は一乗客としてではありますが、そんな思いをもって貴重な列車たちにできるだけ乗っていきたいと思っています。
②おすすめの観光列車紹介(予告)
ここまで書くと当然「具体的にはどんな列車がいいんだ?」という疑問が湧くかと思います。
そこで、次回から私が乗ったことがある列車の中から、おすすめの列車を3つほどご紹介したいと思います。
今回は最後にその3つの予告で締めたいと思います。
第1回:観光特急しまかぜ(近畿日本鉄道)
あとは「サフィール踊り子」なんかも該当しそうなのですが、未乗車で手元に資料がないため今回は外します。
それでは今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。