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価値ある観光列車シリーズ③~バブル時代の博物館~スペーシア

みなさまこんにちは。ゆわきーです。
このブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

少し休憩をはさみましたが、おすすめの観光列車シリーズの最後3つめをご紹介します。
よろしければ1回目、2回目の記事も読んで頂けると嬉しいです。

 

hikari100.hatenablog.com

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今回は(純粋な観光列車とは少し違うかもですが)「スペーシア」をご紹介します。

スペーシア」は東武鉄道が主に浅草~日光・鬼怒川温泉間で運転している列車です。

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鬼怒川温泉駅にたたずむスペーシア。丸くてなんだか愛嬌のあるフォルムです。

★今回のもくじ

1.「スペーシア」の概要

 ①DRCの系譜

 ②バブルの申し子

 

2.「スペーシア」の魅力

 ①豪華さを感じる移動空間

 ②懐かしさ満点の「ビュッフェ」

 ③コスパ最高のコンパートメント(個室)

 

3.まとめ

 ①1つの時代の象徴

 ②気になる後継ぎ

 

1.「スペーシア」の概要

①DRCの系譜

東京から日光への鉄道輸送においては古くから東武鉄道国鉄が激しい競合を繰り広げていたため、東武鉄道はこの路線に肝いりの特急型車両を導入してきました。

特に1960年にデビューした1720系車両は当時としては破格の快適性を持つ列車であり、「DRC」(デラックスロマンスカー)の愛称で親しまれ、名車として多くの人の記憶に残りました。

 

なんでも、DRCの車内にはビュッフェやジュークボックス付きのサロンカーまであったとか…😲

 

そんなDRCの後継車両として1990年にデビューしたのが「スペーシア」です。

DRCが持っていた「ゆとり」を引き継ぎながら、さらなる魅力も持って生まれた、新たなる名車でした。

 

②バブルの申し子

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スペーシアブルーリボン賞を争った「スーパービュー踊り子」。
こちらも素晴らしい車両でした。

スペーシアがデビューしたのはまさにバブルの時代真っただ中。
皆が気前よくお金を使えて、豪華なものが売れていく時代でした。

 

この時期に登場した(あるいは開発期間がバブルと被っていた)他の鉄道車両も、今とは比べ物にならないほど豪華な顔ぶれがそろっていました。

新幹線では、JR西日本が史上最も豪華な新幹線との呼び声高い100系グランドひかりを1989年にデビューさせました。

在来線ではJR東日本の3大看板特急(651系スーパーひたち、253系成田エクスプレス、251系スーパービュー踊り子)が話題をさらい、
少し遅れてJR九州では伝統の「つばめ」の愛称を冠された787系が走り出します。

 

そんな中でもスペーシアもライバルに負けない豪華な設備とゆとりで多くの利用者の心をつかみ、
登場の翌年には超強力なライバルであった「スーパービュー踊り子」との闘いを制してブルーリボン賞を受賞します。

まさに「バブル時代の鉄道車両」のお手本のような存在だったスペーシア
次はその中身をご紹介します。

 

2.「スペーシア」の魅力

①豪華さを感じる移動空間

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車内は10年ほど前に一度リニューアルされ、座席の色が変わりました。

スペーシアの車内インテリアには、豪華さを演出してくれる様々な要素があります。

床はカーペット敷きでテーブルは大理石調、さらにシートの前後間隔はJR特急のグリーン車の水準に近いゆとりがあるものです。

 

なんでも、当初の車内インテリアのデザインは銀座東武ホテルのデザインを担当した方が務められたそうで、ホテルのデザインイメージを車内で表現したのだとか。
なるほど、そう言われてみるとそんな感じがしますね。

対して、現在のシートデザインは東京スカイツリーのロゴの意匠を連想させるようなポップさもあり、なんだかおもしろい取り合わせですね(笑)。

 

浅草から日光、鬼怒川温泉まではいずれも2時間程度の道のりですが、2時間ではもったいないくらいのゆとりを感じることができます。

 

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壁についている大理石調のテーブルが時代を感じますね(笑)

②懐かしさ満点の「ビュッフェ」

※注意!

この記事の執筆時点では、新型コロナウィルスの影響で残念ながらスペーシアの車内販売は休止中とのことです。
早期に再開ができることを祈ります…!
以下の内容はコロナ騒ぎの前に乗車した際のものです。

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これだけのメニューがあるとワクワクしますね☺

スペーシアの3号車にはビュッフェ(車内販売カウンター)があり、アテンダントさんから飲食物を購入することができます。(ワゴンによる車内販売もあります)

 

品ぞろえを見ると、最近の観光列車のようなちょっとおしゃれめなご当地モノではなく、ひと昔前のレトロな感じです。
個人的には、冷凍食品のチャーハンとかたこ焼きとかが懐かしくて反応してしまいます(笑)。


各地で車内販売がどんどん縮小されている中、かなり健闘している内容だと思います。

ちなみに私がスペーシアに乗った時はアイスクリームを購入しましたが、おそらく一番人気はビールサーバーから直接注がれる生ビールだったようで、ビールが入ったカップを持ったお客さんがたくさん車内を闊歩していた光景が思い出されます(笑)。


(ちなみに、別の機会にスーパービュー踊り子に乗車した時も生ビールが大人気だったので、生ビールは車内販売のキラーアイテムのようです🍺)

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生ビールもいいですが、アイスもなかなかでしたよ!

コスパ最高のコンパートメント(個室)

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扉を開けると、そこは特別な空間でした。

スペーシアの最大のハイライトはなんといってもコンパートメントルーム(個室)です。

 

なんと、6号車1両が丸々個室のみの車両となっており、1列車につき6室もあるため、しまかぜやサフィール踊り子といったプラチナチケット化する個室に比べてかなり切符がとりやすいです。(それでも土休日は大人気ですが。)

 

奥行きがかなりとられているためソファにはゆったり座ることができ、窓が大きいので車窓を楽しむにもうってつけです。
そしてこちらにも大理石の大きなテーブルが健在と、しっかりバブリーな雰囲気を演出してくれます(笑)。

 

こんなすごい設備が、1室3,770円(土休日の場合。平日は3150円)の追加料金で利用できてしまうので、かなりお得です。
3人グループであれば1人1,300円くらいで済みますからね。
(※JR直通で新宿発着の「スペーシアきぬがわ」運用の際は、料金体系が変わります。)


グループ旅行の時はもちろん、特に、小さいお子様連れの時はかなり助かる設備です。
実際、私の知り合いでも家族旅行でスペーシアの個室を重宝している人をちらほら見かけます。

 

おそらく現存の特急列車の中でも個室利用のハードルが特に低い列車の一つです。
ぜひ、スペーシアで個室デビューしてみませんか?

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大人一人が軽々寝ころべるほど広いソファー。

3.まとめ

①1つの時代の象徴

スペーシアを一言でいうと「バブルを感じられる列車」と表現できると思います。
登場から30年ほどが経ち、さすがに経年の跡が目立つ部分もありますが、登場当時からの名残を多くのところから感じることができ、当時の車両事情を見て取ることができます。

先述のように、スペーシアがデビューした時代にはバブルを背景に豪華な設備を持った列車たちが多く登場しましたが、今となっては引退してしまった車両や改造や短編成化で当時の姿をとどめていない車両が多く、スペーシアは数少ない「生き証人」になりました。

 

ある意味バブルとは特殊な時代で、その特殊な時代に生まれた車両たちもまた特殊な車両なのだ、と言ってしまえるのかもしれませんが、
そんなバブルの車両たちに憧れながら幼少期を過ごした筆者にとっては、鉄道を好きになる過程での原体験と言えるものです。
(なので、私が好きな車両はバブル時代からちょっと後くらいの車両が圧倒的に多いです(笑)。)

そんなバブルの博物館のような車両がまだ走ってくれているのはうれしい限りなのです。

②気になる後継ぎ

とはいえ、そんなスペーシアもデビューから30年経ち、さすがに後継車両の話が出てきました。

 

2017年に東武鉄道が発表した中期経営計画の中身として、「フラッグシップ特急の導入」が挙げられており、2020年ごろにスペーシアの後継となる新型特急車両がデビューするのではないかという予想がされ、にわかに注目を浴びました。

 

しかし、結果その後新型特急の話題について続報がなく、代わりにスペーシアリバイバルカラーの話題なんかが挙がっていました。

 

私はこのスペーシアの後継車両に非常に強い興味を持っています。
近年、特急列車の標準化や簡素化が進んでいる流れの中で、後継車両がスペーシアより簡素化されてしまわないか…という一抹の不安があるからです。

 

ただ、逆に近鉄の「しまかぜ」と肩を並べられる超豪華列車が登場するというパターンも期待しています。
理想としては、豪華な座席にビュッフェ、個室を継続(あるいはさらに進化)させた上で最新の設備に更新されたような車両が登場してほしいな、と妄想しています。

最近の鉄道業界は経営が苦しいところが多く、鉄道事業への大型投資に二の足を踏みがちかもしれませんが、個人的には、ちゃんとよいものを造ってくれるのであれば、近鉄が「しまかぜ」や「ひのとり」でしたように少額の追加料金があってもいいと思います。
そのほうが車両の償却が楽になって会社としてのリスクは減らせますし、いち乗客としてはその分豪華な車両に乗せてくれるのであれば全くかまいません。

 


おそらく、新型特急の話題が復活した時には同時にスペーシアの去就も語られると思うので、今のうちに乗っておきたい車両でもあります。

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これからもまだまだ元気に走ってね!

 

それでは今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。